連合広島とは
連合広島2023年度運動方針
はじめに
1.私たちを取り巻く情勢
私たち連合広島は、2021年11月17日に第28回大会を開催し、確立された2022年度から2023年度までの2年間の運動方針を基本に「With・Afterコロナ」を見据えた運動に取り組んできた。
また、連合は、私たちのめざす社会を実現するために、連合運動を再構築し、基盤を強化するべく、引き続き4つの改革パッケージ(①運動領域と重点化、②組織体制・運営、③人材確保と育成、④財政)の実践などに取り組んできた。後半年度においても、前半年度の取り組みの進捗を踏まえ、直面する課題の克服や基盤強化の取り組みを一層深化させ、高まる世界情勢不安や地政学的リスクの増大に立ち向かうべく、国内のみならず世界の働く仲間との国際連帯をさらに強固なものとしながら取り組むこととした。
現在、私たち労働者・生活者を取り巻く状況は、終息の見通せないコロナ禍により大打撃を受け、社会・経済活動への制約や、それを一因とする停滞から脱しきれず、多くの働く仲間とその家族の生活を直撃し、雇用と賃金・労働条件が脅かされ続けている。さらに、追い打ちをかけるようにロシアによるウクライナへの軍事侵攻により、資源・エネルギー価格の上昇に拍車がかかり、併せて円安の進行などにより生活に大きな影響を及ぼしている。
同時にコロナ禍は、社会的セーフティ・ネットの脆弱性も浮き彫りとなり、とりわけ、パート・有期・派遣・フリーランスなどの形態で働く人、女性、外国人、学生など多くの仲間が困難な状況に立たされている。また、急速に広がったテレワークは、働く自由度を高めたものの、個人の評価の仕方などの人事上の課題や日常的コミュニケーション不足と心身の健康確保や人材育成への対応、さらには、家庭内のDVの温床化などが危惧されることとなった。
連合広島は、引き続きすべての人の人権が尊重され、性別・年齢・国籍・障がいの有無・就労形態などに関わらず、だれもが平等・対等で、多様性を認め合いながら公正・公平に働くことのできる「フェアワーク(公正・公平に働くこと)」の実現への社会変革に取り組まなくてはならない。
そのためにも、来春に執行される統一地方選挙をはじめ、各種選挙において、労働者の声を幅広く社会に反映させるとともに、持続可能な社会の実現に向け、連合との連携のもと、連合広島の組織力を最大限発揮できるよう、構成組織、地域協議会、組合員が一体となって取り組んでいく。
2.新しい運動スタイルの構築に向けて
このように働く仲間が厳しい状況に置かれている時だからこそ、今まで以上に労働組合・連合運動に対して大きな期待が寄せられている。そうしたことも踏まえて、3年間にわたるコロナ禍において、困難な時代に対応でき得る労働運動の在り方を模索し、集会・会議等の開催方法を工夫することなどにより「新しい運動スタイル」の構築に向けた一歩を踏み出せたとも言える。
引き続き、私たちが大切にしてきた「Face to Face」の対話を重要視しつつ、リアル・オンラインに関わらず、互いの熱意が実感を持って伝わり、運動・活動の結集力へつながる取り組みとしなければならない。併せて、連合を知りえなかった働く仲間との関係づくりは、連合運動のウイングを広げるためにも重要な意味を持っている。「新しい運動スタイル」を確立させ、職場にあっても地域にあっても「すべての働く仲間・生活者に寄り添い、必ずそばにいる存在」として高めていく。
連合広島は、私たちの求める『働くことを軸とする安心社会の実現』を社会の隅々まで浸透させるため、各地域協議会を中心とした地域での運動強化に取り組むとともに、行政や経営者団体、福祉事業団体、NPOなど様々なネットワークを駆使し、日常的な連携強化をめざす。
Ⅱ.運動の基調(5つの柱)
1.すべての働く仲間をまもり、つなぐための集団的労使関係の追求と社会にひろがりのある運動の推進
働く仲間の環境変化に対応した集団的労使関係の拡充・強化を追求するとともに、時代の変化に対応でき得る運動の有り様を模索しながら、より多くの働く仲間が結集できる組織体としての運動の確立をはかり、連合運動の存在意義をより一層社会・職場に浸透させるため、社会的キャンペーン等の世論喚起に取り組む。また、持続可能な社会の実現に向けて、積極的な社会対話と発信による広がりのある運動を構築する。
私たちの運動の在り方が大きく影響をうけたコロナ禍において、私たちは一つひとつの取り組みを新たな視点で見つめ直すとともに、構成組織・地域協議会との一層の連携をはかりながら、連合運動を着実に展開する必要がある。併せて、このような時代だからこそ、これまで以上に広島県労働者福祉協議会、中国労働金庫、こくみん共済coop、広島県労働会館等の福祉事業団体との連携強化をはかり、働く者・生活者の不安に立ち向かう。
引き続き、連合広島の運動・組織の在り方については、様々な知見を集約し、組織力、人材育成、地域運動の強化等に取り組む。
2.安心社会とディーセント・ワークをまもり、創り出す運動の推進
コロナ禍は、DX(デジタル・トランスフォーメーション)を一層加速させる一方で、社会的セーフティ・ネットの脆弱性も露呈させた。激甚化する自然災害も相俟って社会の持続性への懸念が高まっている。連合との連携により社会保障や税制改正などの法改正にも注視しつつ、「すべての働く仲間のディーセント・ワーク実現に向けた雇用・労働政策の推進」と併せて、「賃金・労働諸条件の向上と地域社会を支える中小企業の基盤強化」などに取り組む。
また、労働災害の撲滅に向け、職場環境の改善とともに、労働安全衛生対策に取り組む。
3.ジェンダー平等をはじめとして、一人ひとりが尊重された「真の多様性」が根付く職場・社会の実現
パート・有期、派遣や曖昧な雇用などで働く仲間、あるいは、性別・年齢・国籍・障がいの有無・就労形態などにかかわらず、誰もが多様性を認め合い、互いに支え合うことのできる職場・社会の実現をめざす。男女平等参画を推進するとともに、ジェンダー平等や「真の多様性」に向けた法整備や職場環境の改善などの取り組みを推進する。そのためにも、連合と同様に、連合広島においても運動のあらゆる場面にジェンダー平等の視点を位置付けて取り組みを進める。
また、「フェアワーク(公正・公平に働くこと)」の実現に向け、働くうえでの困難さが多様化している現状の対応として、すべての働く仲間の拠り所となるよう運動を推進する。
4.社会連帯を通じた平和、人権、社会貢献への取り組みと次世代への継承
広範な仲間との連携をはかり、「核兵器の廃絶と世界の恒久平和実現」に向け、被爆地の地方連合会として志を同じくする仲間の思いと力を結集し、幅広く国民的課題や地域の課題に対応していく。また、被爆の実相を風化させない取り組みを強化し、次世代に継承していく。さらに、「すべての働く者・生活者に寄り添い、必ずそばにいる存在」として、支え合い・助け合い運動の推進に向けて、効果的な社会貢献活動を模索し、NPOやその他の民主的な団体との連携の中で連合広島としての社会的な役割が果たせる取り組みを追求する。
すべての人権が確立された社会の構築に向けて、積極的な取り組みを推進する。
5.政策力の向上をはかり、健全な議会制民主主義の確立、政策実現に向けた政治活動の推進
労働組合の基本目的である「雇用と生活の安定」を実現するために、連合広島推薦議員との連携を密にし、広島県や県内各市町への政策・制度要求に取り組む。また、働く者・生活者一人ひとりが政治に対する意識を高める取り組みを推進する。引き続き、働く者・生活者のための政策実現に向け、組合員の結集によって政治勢力拡大に取り組む。