連合広島とは

連合広島2026年度運動方針

はじめに

1.私たちを取り巻く情勢
連合広島は、2024年11月15日に第31回大会を開催し、確立された2024年度から2025年度の1期2年の後半年度となる2025年度運動方針のもと、取り組みを進めてきた。社会経済が大きく変化する中、「働くことを軸とする安心社会」の実現に向けた取り組みを確実なものとするため、構成組織、地域協議会が一体となり、これまでの運動を継承しつつ、柔軟に対応してきた。

世界各地で続く戦争・紛争やトランプ政権による関税政策などにより社会に混乱を生じさせ、経済の先行き不透明感や社会不安を生み出している。日本においては、急速な少子化を伴いながら、高齢化と人口減少が進んでいる。少子高齢化の加速は、慢性的な人手不足と年金・医療・介護などの社会保障制度に影響を及ぼすことになる。

私たちの暮らしにおいては、賃上げの流れは着実に広がっているものの物価上昇が続いた結果、実質賃金という視点で見れば、厳しい状況が続いている。とりわけ、非正規雇用で働く人々は、深刻な状況であり、雇用形態間格差は広がっている。

そのような中、2024年に執行された第50回衆議院議員総選挙、2025年に執行された第27回参議院議員通常選挙の結果、衆参両院での与党過半数割れとなった。

この結果は、自民党政権に対する政治への不満や不信、怒りの表れである。一方、既存政党に対する不満の受け皿として新興政党の躍進につながった。

政党が多党化し、政治が不安定な中においても物価高対策は急務であり、持続可能な政策の実現によって安定した暮らしを求められている。


2.連合運動のさらなる強化・発展に向けて
連合本部は、連合ビジョンで掲げた社会の実現に向けた運動の再構築と、そのための基盤整備に向けた4つの改革パッケージ(①運動の領域と重点化、②組織体制・運営、③人財の確保と育成、④財政)について見直しと検証を行った。その結果、連合ビジョンについては、2035年の社会を展望した運動と政策の「羅針盤」として示されてきた方向性は堅持することとし、その上で、社会経済の情勢変化を踏まえた補強を行ってきた。

また、検証結果を踏まえ、第19期運動方針においては、これまで3期にわたり取り組んできた「連合運動の持続可能性と発展性を支え得る方策」の具体化を基盤に政策・運動の両面から、取り組みを前進・加速させ、さらなる発展につなげる2年としていくこととしている。

連合広島も、連合運動と連動しながら、地方連合会として果たさなければならない役割や責任を踏まえ、全ての働く仲間が結集でき、働く者・生活者のための運動を追求し続ける組織でなければならない。

私たち働く者・生活者を取り巻く環境は、社会経済が変化している状況にあり、これまで以上に労働組合・連合運動に対する大きな期待が寄せられている。

そうしたことも踏まえて、中長期的に存在する構造的な諸課題とも向き合いながら、社会の要請に応えられるよう「働くことを軸とする安心社会の実現」に向けた取り組みを確実なものとする必要がある。

連合広島は、社会経済情勢の不確実性が一層増す中、引き続き雇用の維持と創出、賃金・労働条件の維持向上に向け、社会的セーフティネットの充実に向けた取り組みを進める。

また、引き続きすべての人の人権が尊重され、パート・有期・派遣や曖昧な雇用などで働く仲間、また、性別・年齢・国籍・障がいの有無・就労形態などに関わらず、誰もが多様性を認め合い、支え合うことで、公平・公正に働くことのできる「フェアワーク」の実現に向けた取り組みを加速させていく。

全ての働く者・生活者に寄り添い、その期待に応える運動としていくために、職場や地域において「必ずそばにいる存在」として、構成組織、地域協議会は勿論のこと、行政や経営者団体、福祉事業団体、NPOなども含めた様々なつながりの中で取り組みを進めていく。


Ⅱ.運動の基調(5つの柱)
1.すべての働く仲間をまもり、つなぐために、組織拡大・強化を最重点取り組みと位置づけ、集団的労使関係の追求と、社会に広がりのある運動の推進
働く仲間の環境変化に対応した集団的労使関係の拡充・強化を追求するとともに、労働組合の存在意義・役割をより一層社会に浸透させ、「理解・共感・参加」の好循環により社会に広がりのある運動を推進する。

組織人員減少に歯止めをかけるため、組織拡大・強化にこだわり、より多くの働くすべての仲間が結集できる組織体としての運動の推進をはかる。また、健全な集団的労使関係の重要性・労働組合の存在意義・必要性などを社会へ広く発信し、未組織労働者との関わりを深める努力を行いながら、労働組合に対する理解促進と労使関係づくりの構築・強化に取り組む。

連合運動の存在意義をより一層社会に浸透させるため、社会的キャンペーン等の世論喚起に取り組むとともに、持続可能な社会の実現に向けて、積極的な社会対話と発信による広がりのある運動を構築する。

また、これまでどおり、広島県労働者福祉協議会、中国労働金庫、こくみん共済coop、広島県労働会館などの福祉事業団体と連携を強化しながら、働く者・生活者の不安解消に向けた取り組みを行う。

また、これまでどおり、広島県労働者福祉協議会、中国労働金庫、こくみん共済coop、広島県労働会館などの福祉事業団体とのさらなる連携強化をはかりながら、働く者・生活者の不安解消に向けた取り組みを行う。

連合広島の運動・組織の在り方については、様々な知見を集約する中で、組織力、人財育成、地域での運動を推進する。

2.安心社会とディーセント・ワークをまもり、創り出す運動の推進
すべての働く仲間とディーセント・ワークの実現に向けて、経済・社会情勢の変化に対応し、労働者の雇用と生活の安定につなげるため、雇用・労働政策の推進が重要となっている。

併せて、GXやDXが進展する中で、「人への投資」の拡充や雇用のセーフティネットの維持・強化、カーボンニュートラルをはじめとする気候変動対策や循環型社会の構築など、今まで以上の取り組みが求められている。

連合本部との連携により、社会保障・教育と税制の一体改革に向けた取り組みにも注視しながら、「すべての働く仲間のディーセント・ワーク実現に向けた雇用・労働政策」の推進と、「賃金・労働諸条件の向上と地域社会を支える中小企業の基盤強化」などに取り組む。併せて、労働災害の撲滅に向け職場環境の改善をはかるとともに、労働安全衛生対策にも取り組む。


3.ジェンダー平等をはじめとして、一人ひとりが尊重された「真の多様性」が根付く職場・社会の実現
パート・有期・派遣や曖昧な雇用などで働く仲間、また、性別・年齢・国籍・障がいの有無・就労形態などに関わらず、誰もが多様性を認め合い、支え合い、やりがいを持って働くことのできる公正な職場・社会の実現をめざす。

引き続き、男女共同参画社会を推進するとともに、ジェンダー平等や「真の多様性」に向けた法整備や職場環境の改善などの取り組みを推進する。そのためにも、連合広島の運動のあらゆる場面に、男女共同参画やジェンダー平等の視点を位置付け、継続した取り組みを推進する。

また、「フェアワーク」の実現に向け、働くうえでの困難さが多様化している現状に対応できるよう、すべての働く仲間の拠り所となるよう運動を推進する。

4.社会連帯を通じた平和、人権、社会貢献への取り組みと次世代への継承
広範な仲間との連携をはかり、「核兵器廃絶と世界の恒久平和の実現」に向け、被爆地に存在する地方連合会として、志を同じくする仲間の思いと力を結集することにより、幅広く国民的課題や地域の課題に対応できるよう取り組みを進めていく。また、被爆者が高齢化する中で、過去の悲惨な出来事や被爆の実相を風化させないように次世代との連携を模索する中で、核兵器廃絶と世界の恒久平和の実現に向けた取り組みを強化する。

支え合い・助け合い運動の推進に向けて、構成組織・地域協議会や民主的な諸団体と連携し、すべての働く仲間や生活者の共感と参加・行動などの好循環につなげていく社会貢献活動に取り組む。

引き続き、連合広島としての社会的な役割や責任が果たせる取り組みを進めるとともに、多様化する今日的な人権にかかわる諸課題について、問題意識を共有しながらその解決に向けて積極的な取り組みを推進する。


5.健全な議会制民主主義と政策実現に向けた政治活動の推進
働く者・生活者を優先する政治・政策の実現を追求し、労働組合の基本的な目的である「雇用と生活の安定」さらには地域住民にとって身近な政治を実現するため、連合広島議員懇談会をはじめ推薦・支援議員、首長との連携を密にし、県内各市町への政策・制度要求に取り組む。

また、働く者・生活者一人ひとりが政治への意識高揚に向けた取り組みを推進するとともに、政治分野における男女共同参画をはじめ、多様な民意の反映ができる環境整備に向けた取り組みも追求する。

いつ解散するかわからない衆議院議員総選挙においては、真に働く者・生活者の立場にたった政治勢力を拡大するため、連合広島が推薦する候補者の必勝に向けて最大限の取り組みを進めていく。

さらには、これまでどおり地方議会における各級選挙においても働く者・生活者の切実な声を幅広く社会に反映させる取り組みを力強く進めていくとともに、持続可能な社会の実現に向け、連合本部との連携のもと、連合広島の組織力を最大限発揮できるよう、構成組織、地域協議会、組合員が一体となって取り組みを進めていく。