連合広島とは

連合広島2024年度運動方針

はじめに

1.私たちを取り巻く情勢
連合広島は、2022年11月17日に第29回大会を開催し、確立された2022年度から2023年度の1期2年を基本とする運動の後半年度となる2023年度の運動方針のもと、「With・Afterコロナ」を見据えた運動に取り組んできた。

一方で、コロナ禍とあいまって、円安の進行やロシアによるウクライナへの軍事侵攻の影響により、エネルギーや原材料価格が上昇するなど、働く者・生活者へ打撃を与えている。

約3年半にわたり働く者・生活者に対し、大きな影響を与えた新型コロナウイルス感染症は未だ終息に至ってはいないものの、今年5月に感染症法上の位置付けが2類相当から5類に移行され、社会経済も産業ごとに様々な厳しい状況を抱えながらもコロナ禍を克服しつつある。

一方で、コロナ禍とあいまって、円安の進行やロシアによるウクライナへの軍事侵攻の影響により、エネルギーや原材料価格が上昇するなど、働く者・生活者へ打撃を与えている。

岸田政権は、「成長と分配の好循環」や「分厚い中間層の復活」などを掲げ、①人への投資、②科学分野への重点投資、③スタートアップ起業の加速、④GX(グリーントランスフォーメーション)への投資をするとした、4つの柱で構成する「新しい資本主義」を経済政策として打ち出した。しかし、所得再分配に向けた税制改革などの姿は示されていない。市場における取り引きを通じて利益が生み出される構造がある以上、成長と分配は切り離せないものとはいえ、誰もが納得する分配がなされず、強者が弱者を搾取する構造に陥ることのないように注視する必要がある。

2.連合運動のさらなる強化・発展に向けて
連合は、連合ビジョンで掲げた社会の実現に向けた運動の再構築と、そのための基盤整備に向けて、4つの改革パッケージ(①運動の領域と重点化、②組織体制・運営、③人財の確保と育成、④財政)について取り組みを進めてきた。

2024~2025年度の連合運動は4つの改革パッケージの最終期となり、前半の1年において「働く仲間一人ひとりを守る」「働く仲間・地域社会をつなぐ」「社会・経済の新たな活力を創り出す」ための運動の再構築を仕上げることとしている。

連合広島も、連合運動と連動しながら、地方連合会として果たさなければならない役割や責任を踏まえ、全ての働く仲間が結集でき、働く者・生活者のための運動であり続けることを追求し続ける組織でなければならない。

現在の私たち働く者・生活者を取り巻く厳しい環境の中で、また、社会経済が変化している状況にあって、これまで以上に労働組合・連合運動に対する大きな期待が寄せられている。

そうしたことも踏まえて、中長期的に存在する構造的な諸課題とも引き続き向き合いながら、社会の要請に応えられるよう「働くことを軸とする安心社会の実現」に向けた取り組みを確実なものとする必要がある。

連合広島は、社会経済が大きく変化する過渡期においても、引き続き雇用の維持と創出、賃金・労働条件の維持向上に向けた取り組みを進めるとともに、社会的セーフティネットの充実に向けた取り組みを進める。

また、引き続きすべての人の人権が尊重され、性別・年齢・国籍・障がいの有無・就労形態に関わらず、誰もが平等・対等で、多様性を包摂し公平・公正に働くことのできる「フェアワーク」の実現に向けた取り組みを加速させなければならない。

全ての働く者・生活者に寄り添い、その期待に応える運動としていくためにも、職場においても地域においても「必ずそばにいる存在」として、構成組織、地域協議会は勿論のこと、行政や経営者団体、福祉事業団体、NPOなども含めた様々なつながりの中で取り組みを進めていく。

Ⅱ.運動の基調(5つの柱)
1.すべての働く仲間をまもり、つなぐための集団的労使関係の追求と、社会に広がりのある運動の推進
働く仲間の環境変化に対応した集団的労使関係の拡充・強化を追求するとともに、時代の変化に対応でき得る運動の有り様を模索する。また、減少傾向にある組織人員に歯止めをかけるためにも、現状の危機意識を共有しながら、徹底した組織拡大・強化にこだわり、より多くの働くすべての仲間が結集できる組織体としての運動の推進をはかる。

また、連合運動の存在意義をより一層社会に浸透させるため、社会的キャンペーン等の世論喚起に取り組むとともに、持続可能な社会の実現に向けて、積極的な社会対話と発信による広がりのある運動を構築する。

そのためにも、構成組織、地域協議会との連携をより一層密にし、「理解・共感・参加」の好循環による社会運動の構築をめざしながら、あらゆる機会を通じて組合づくりや集団的労使関係の重要性などを広く発信し、経営者団体などとの接点や多様な未組織労働者との関りを深める努力を行いながら、労働組合に対する理解促進と労使関係づくりの環境整備に取り組む。

また、これまでどおり、広島県労働者福祉協議会、中国労働金庫、こくみん共済coop、広島県労働会館などの福祉事業団体との連携強化をはかりながら、働く者・生活者の不安解消に向けた取り組みを行う。

連合広島の運動・組織の在り方については、様々な知見を集約する中で、組織力、人財育成、地域での運動に取り組む。

2.安心社会とディーセント・ワークをまもり、創り出す運動の推進
コロナ禍が後押しとなって、DX(デジタルトランスフォーメーション)を一層加速させた一方で、社会的セーフティネットの脆弱さも露呈させることとなった。

また、頻発する自然災害ともあいまって社会の持続性に対する懸念もより一層高まっている。DXやGXの進展に伴って、「人への投資」の拡充や雇用のセーフティネットの維持・強化、カーボンニュートラルをはじめとする気候変動対策や循環型社会の構築など、今まで以上の取り組みが求められている。

さらに、少子高齢化・人口減少などの構造的な諸課題の解決や、所得格差の拡大などへの対応も必要性がより高まっている。

連合との連携により、社会保障制度や様々な法改正にも注視しながら、「すべての働く仲間のディーセント・ワーク実現に向けた雇用・労働政策」の推進と、「賃金・労働諸条件の向上や地域社会を支える中小企業の基盤強化」などに取り組む。併せて、労働災害の撲滅に向け職場環境の改善をはかるとともに、労働安全衛生対策にも取り組む。

3.ジェンダー平等をはじめとして、一人ひとりが尊重された「真の多様性」が根付く職場・社会の実現
パート・有期・派遣や曖昧な雇用などで働く仲間、また、性別・年齢・国籍・障がいの有無・就労形態などに関わらず、誰もが多様性を認め合い、お互いに支え合うことのできる職場・社会の実現をめざす。

引き続き、男女平等参画社会を推進するとともに、ジェンダー平等や「真の多様性」に向けた法整備や職場環境の改善などの取り組みを推進する。そのためにも連合広島の運動のあらゆる場面に、男女平等参画やジェンダー平等の視点を位置付けた取り組みを推進する。

また、「フェアワーク」の実現に向け、働くうえでの困難さが多様化している現状に対応できるよう、すべての働く仲間の拠り所となるよう運動を推進する。

4.社会連帯を通じた平和・人権・社会貢献への取り組みと次世代への継承
広範な仲間との連携をはかり、「核兵器の廃絶と世界の恒久平和の実現」に向け、被爆地に存在する地方連合会として、志を同じくする仲間の思いと力を結集することにより、幅広く国民的課題や地域の課題に対応できるよう取り組みを進めていく。

また、被爆者が高齢化する中で、過去の悲惨な出来事や被爆の実相を風化させない取り組みを強化しながら次世代へと継承していく。

さらに、すべての働く者・生活者に寄り添える運動を追求しながら、「必ずそばにいる存在」として、支え合い・助け合い運動の推進に向けて、民主的な諸団体との連携を基本に、効果的な社会貢献事業を模索する。

引き続き、連合広島としての社会的な役割や責任が果たせる取り組みを追求するとともに、多様化する今日的な人権にかかわる諸課題について、その解決に向けて積極的な取り組みを推進する。

5.政策力の向上をはかり、健全な議会制民主主義の確立、政策実現に向けた政治活動の推進
働く者・生活者を優先する政治・政策の実現を追求し、労働組合の基本的な目的である「雇用と生活の安定」さらには地域住民にとって身近な政治を実現するため、連合広島議員懇談会をはじめ推薦・支援議員、首長との連携を密にし、県内各市町への政策・制度要求に取り組む。

また、働く者・生活者一人ひとりが政治への意識高揚に向けた取り組みを推進するとともに、政治分野における男女共同参画をはじめ、多様な民意の反映ができる環境整備に向けた取り組みも追求する。

加えて、想定される第50回衆議院議員選挙において、私たちの側の民主的な政治勢力を国政の場に送り出すことも見据えながら、地方議会における各級選挙においても働く者・生活者の切実な声を幅広く社会に反映させるとともに、持続可能な社会の実現に向け、連合との連携のもと、連合広島の組織力を最大限発揮できるよう、構成組織、地域協議会、組合員が一体となって取り組みを進めていく。